知って欲しい。ルー+ルー=カレー?

日本で調香師という仕事は資格がある訳ではなく、それをやっているポジションに与えられる肩書きのようなものである。
画家、ミュージシャンと近いような感覚かもしれない。
小さなライブハウスで弾き語りをしている人もミュージシャン、国民的なビックバンドもまたミュージシャン。
私は明らかに前者的であって、甲府の小さなアトリエで1人香りと向き合う調香師。
ここから先は小言になるが、
私は単品香料を組んで新たな香りを作り、新たな原料にも絶え間なく触れ、新しいクリエーションを行う人が調香師だと思っている。
もちろんIFRAの事、化学的な事、学術的な事、最終製品のケアなど業務は多岐に渡る。
近頃の「調香体験」というものを見ていると、それってどうなん?と思う物が散見される。
出来上がっているベース香料を2,3種類選ぶお手伝いをする人が調香師?
なめるなよ。
ルーとルーを合わせてカレーが出来ますって言ってるようなもの。
そりゃ出来るでしょ。30分で終わるでしょ。
ルーを作る事が調香師の仕事であり、単品に対する情熱を絶え間なく燃やし続ける気質や努力が求められるのでは?
どこで何を学んで何が出来るんだ?
イミテーションは出来るのか?マスキングは出来るのか?クリエーションは出来るのか?アコードは取れるのか?引き出しはどれくらいあるのか?
資格がないからといって、無秩序に乱立し、消費者を困惑させる行為は、私は真正面から反対である。
香水文化や香料の消費量が伸びている近年だからこそ、消費者に「なんかつまんなかった」「何の学びもなかった」と思わせてはいけない。
騙したり隠したりするのはもってのほか。
香りの業界はブラックボックスが多い。
だけど、だからこそ一般の消費者にその事を知ってほしい。そうすればもっと業界の可能性が広がると思っている。
私の師匠は血の滲むような努力を重ねて、長い年月を経て、それでもなお謙虚で、日々学び続けている。
その姿勢を忘れずに私は進む。