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香りの豆知識

同じ香水を使っても人それぞれ香り立ちが違うのはなぜ④(最終回)

4つ目は香りの感じ方が個人個人で違う点が挙げられます。フローラルを甘いと思う人もいれば、思わない人もいたり、ムスクを敏感に感じる人もいれば、感じ取れない人もいます。
「甘い香り」と言ってもムスク、バニラ、アンバー、ウッディ、フローラル、フルーティ…どんな香りもいわゆる甘さがあり、その人がどの甘さの事を言っているのか難解だったりします。
要は感じ方が違って、さらに言語表現が難しいんですね。本当に人の鼻は様々で興味深いものがあります。
ワークショップをやっていても特定の香りを嗅ぎ取れない方が多くいらっしゃいます。
特に「これ香らないんですけど」と言われる事が多いのはHEDIONE(ベディオン)、RASPBERRY KETONE(ラズベリーケトン)、ISO E SUPER(イソイースーパー)です。
(どれも超有名香水を支え、一時代を築いたスペシャリティ香料なのですが…話が逸れるのでそれはまた今度書きます。)
これは鼻が悪い訳ではないので落ち込む事はないです。
僕自身も例えばGreen Noteの香料を嗅いで、どこがグリーンやねん!と思う香料もあります。学術的な話と感覚的な話でさえズレるのです。
また香りを嗅ぐ周囲の温度や湿度、風の強さなどの環境要因も香水の香り立ちに影響します。湿度が高い環境では香りが長持ちし、乾燥した環境では香りが早く消えることがあります。
これら全ての要素が組み合わさって、同じ香水でも人によって違った香り立ちが生まれるのです。
もはや同じ香り立ちなどないと言って過言ではないのではないでしょう。
以上で「同じ香水を使っても人それぞれ香り立ちが違うのはなぜ」シリーズはひと段落と致します。
奥深き香りの世界、少しでも興味を持って頂けたらアトリエに単品香料を嗅ぎにきて下さい。
新たな世界を体験できること間違いなしです。
私はレジェンド調香師達の足跡を辿り、敬意を払いながらも、新しい香りを世に送る。そんなモチベーションを1人沸々と燃やして頑張っていきます。